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「ガッカリした? あの時は、彩は僕に合わせようとして精一杯頑張ってくれたのにね」
もしかしたら本当は、聡はちゃんと解ってくれていたのかも知れない。いまさら気づいたって遅いのだけれど…。
「ウウン…最終的にはいつも聡が譲ってくれてた。いま振り返ってみると、解るんだけどね」
「最後には、収まるところに収まるもんなんだろうね。だったら最初から素直に譲ってれば、あんなにモメて紆余曲折しないで済んだのにね」
「でもさ、別れてからずっと思ってたんだけど、あなたってどうして怒らないの? アタシと一緒にいた頃って、いちども怒ってキレたところを見た覚えがないのよ」
「その分、キミが怒ってたよな」
久しぶりにふたりで笑った。ビールの酔いが廻ってきたせいだろうか…彩は本当に久しぶりに、リラックスして聡と話している気がした。
そして彩は、ついに心の奥につかえていた事を言ってしまった。
「でも最後の方は、アタシに無関心になってたよね。それって、怒るよりもっとヒドイ…って思ってた」
■人は婚姻届けに署名捺印したとたんに、もう二度と別の恋をしなくなる訳ではない。
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