乾杯の後に…

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彩は右隣に座った真理に尋ね、会話を仕向ける。真理が話を受けて、しっかり次の話題に繋げて…となればいいのだが、どうもスムーズにはいかず途切れてしまう。 相手がよほど合コン慣れしていれば別だが、普通は初対面なのだからちょっと緊張気味で、最初はよそよそしくなってしまうのも仕方ない。 こんな時は相手の反応を引き出すために、相手が答えやすそうな質問をするのが一番いいのだが…。彩は相手の日焼けした手首にリストバンドの跡が付いているのを見逃さなかった。 「何かスポーツとか、やってないんですか?」 「ああ、学生の頃からの延長でテニスをちょっと…」 「アラ、じゃあ真理と同じじゃない。真理も高校の時はテニス部だったよね」 話してみると、いま真理が通っている外苑のテニスクラブのコートに彼も行くことがあるらしい。とりあえず彼と真理が打ち解けて会話を始めてくれたから、彩は肩の荷が下りたような気がした。ちょっと惜しいような気もしたけれど…。
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