乾杯の後に…

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美香が選んだワインが美味しかったから、酒が進んだせいもあるのかも知れない。次第に初対面の緊張が解けて場が和み、いい感じになってくる。相手の男のコ達も美香の同期だからみんな同年代で、共通の話題にも事欠かなかった。この合コン自体、充分に盛り上がった…と言えるだろう。 食事が終わると席替え。合コンの普遍的なパターンで、たいがいはクジ引きで席を決めたりするのだけれど、今回はちょっと違ったようだった。 男性側の仕切り役の男のコが席決めをしている時、美香が眼で合図してきた。一緒に化粧室に行くと、鏡の前でリップスティックを塗り直しながら美香が言った。 「アタシの向かいに座ってる彼、彩に興味があるみたいだよ。しきりと彩のことを聞いてたし、席替えするなら彩の向かいの席に座りたいってリクエストしてたから…」 席に戻ってみると、彩の席の向い側にその彼が座っていた。 「落ち着いた方ですね」 「アラ、落ち着いた女性じゃつまりませんか? せっかく前に座っていただいたんだから、騒がしい方が好みでしたら、騒いじゃおうかな…」 「アハ…意外とヤンチャな面もお持ちなんですね」 「どっちが好みなんですか?」
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