乾杯の後に…

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こんな時、男性は常に自分の相手を意識しながら話すし、周囲と話すときも自分の相手を巻き込んで話そうとする。そうなると女性もその男性の脇に寄り添うカタチになるから、自然と五組のカップルが成立してくる。 こうなると、今回は男性側の幹事が奮発して予約してくれた人気の海鮮料理も、テーブルを賑わすだけの存在でしかなくなる。アルコールが進む内、やがて真理の相手が口説きモードに入ったようだった。耳元に口を寄せて何かを囁き、そして真理もそれを嫌がらず、微笑みながら頷いている。それに周囲も影響されたのだろう。じきにみんなふたりの世界に入っていったようだった。彩たちふたりを除いては…。 この日、彩の隣に座ったのはもちろん例の彼。前回の最初の席替えで彩の向かい側を希望した男のコだ。男性陣の他のメンバーと違ってこう言った場面に慣れていないのか、二度目なのに他の連中と較べて数段ぎこちない。 「スミマセン…あんまり合コンとかって慣れていないもので、どうしていいか解らないんです」 どうしていいか解らないのは、彩も同じだった。もっとも彩の方は「既婚者としては」の意味だが…。
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