乾杯の後に…

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けれども、たかが会社の付き合いのためのゴルフ…と言っても、ゴルフはいきなりコースに出てフェアウェイを闊歩できるほど簡単なスポーツでもない。むしろ一緒にコースを回る人達に迷惑をかけないためには、ゴルフ練習場通いが不可欠となってくる。そして聡の小遣いで手の届く料金の練習場は郊外の不便な場所にあり、クルマでなければ行くことができない。 彩にとってクルマは友人達と逢うのに絶対必要なツール。自慢…という部分もあるが、逆に「クルマは旦那が乗っていってしまったので今日は電車…」などとは言えなかったから…。仲間内に、羨ましいほど幸せな結婚生活…のイメージができあがってしまったからには、いまさらそんな夫婦のせめぎ合いなどバラせるはずもなかった。 また週末に郊外の外資系スーパーで日用品をまとめ買いするにも、実家に行って食料品を貰ってくるにも、クルマは必要不可欠な存在だった。彩にとってクルマは自分の生活スタイルをカタチにするための、週末の必需品だったと言えるだろう。
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