乾杯の後に…

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「そうだよね…こんな話をしていること自体が、変わった…ってことだよね。 あの当時はこんな話、まったくしなかったじゃない」 「たしかにそうなのかも知れないね。いま振り返ってみると、結婚しているんだからお互いに解っているはず、納得できているはず…って思い込んじゃっていて、ちゃんと向き合って話したこともなかったような気がするよね」 ■結婚で得る事は多い。けれどそれと同じぐらい、いや…それ以上に、失う事も多い。 幸せな結婚の代償として、仕事や家族関係は生涯の義務と化す。 すべてはふたりの生活を支えるため…そう思うことで幸せに浸れる内はいい。けれど仕事をする…ということは、周囲の同僚や帰属する会社、そして顧客や下請けに対して責任を持つ…ということ。幸せな家庭を築いていくためにちゃんと仕事をしようとすれば、自然と日常生活において仕事が占める割合は大きくなる。一日が二十四時間に限られている以上、仕事に打ち込んだ分だけ夫婦の時間や家族の団欒が少なくなっていくのは、矛盾と言えば矛盾だが…。
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