乾杯の後に…

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月刊誌で発刊日は決まっているから、印刷の入稿期日は絶対厳守である。その入稿期日から逆算してスケジュールが組まれ、すべての仕事は入稿期日に間に合わせるために動かされていく。情報を集め、企画案を作り、編集会議で揉まれ、通った企画の内容に従って取材し、記事を書き、あるいはライターに依頼して執筆してもらい、仕上がった原稿に編集長のチェックを受け、編集長から赤字を入れられた部分を変更し、ようやく入稿。その後、ゲラ刷りの段階で校閲部門から指摘された細かい修正を経て、やっと印刷、製本、そして店頭へ配本となる。 スケジュール通りに進んでいる内はいいが、どれかひとつの過程で遅れやトラブルが発生すれば、当然後ろの過程は詰まったスケジュールとなり、担当者の負担はキツくなっていく。 新しい雑誌だったから、最初の頃はコンセプト通りの企画であれば周囲から横槍を入れられることもなく、順調に記事を仕上げることができた。だが発刊を重ねて目新しさが薄れていくに従って、以前と異なる視点やテーマを求められるようになる。特に企画ページは店頭での売れ行きに影響するだけに、要求されるハードルが高かった。
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