乾杯の後に…

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だが海外出張となると話は違った。聡が特集記事のためにフランクフルトで開催される見本市を取材する事になった時、編集長は聡を自分のデスクに呼んで言った。 「今度のドイツ出張な、通訳はお前のチームの内田を連れていけ」 帰国子女の彼女の事だった。 「向こうで日当を出して通訳を雇うと、また取材経費のことで財務からウダウダ言われることになるしな…」 たしかに彼女なら助手としても頼りになるし、聡にしてもありがたい話だった。 「それに、毎日お前の残業に付き合って夜中まで頑張ってるんだ。たまには内田にもご褒美をやらなきゃ…」 お陰で出張は順調だった。見本市の会場で先端製品のブースを見て廻り、面白そうな新製品やテクノロジィを展示している企業を見つけると、その広報担当者に取材を申し込み、インタビューする。彼女はパンフレットの翻訳から取材交渉、インタビューの通訳まで、すべてを申し分なくサポートしてくれた。
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