乾杯の後に…

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不思議とふたりで裸でいることにも、ひとつのバスタブに浸かって向き合っていることにも、抵抗はなかった。SEXには淡白な聡だったが、この一緒の湯で温め合った時間は前戯以上のウォームアップになったのだろう。 あの時、彼女がもう少し恥ずかしがったり、ためらいを見せていたら、多少は聡も良心の呵責を感じて躊躇していたかも知れない。だがバスタブの中でシャボン玉を飛ばして泡と戯れる彼女は無邪気で、一緒に戯れながら素肌を触れ合わせることも、抱きしめることも、そして唇を重ねることも、むしろとても自然な成り行きだった。 バスタブからベッドに移って、ふたりで抱き合う。聡は久しぶりに女性を抱いた。彩とは生活の時間帯が完全にズレていて、もう一年近く性的な交渉はなかった。だからキスも、SEXも、本当に久しぶりだった。 これを恋や愛と呼ぶのだろうか…。よく解らなかった。けれど彼女の中は熱くとろけるようで、互いに相手を感じあい、求め合っていることは確かに実感できた。そしてその瞬間に強くしがみ付いてきた彼女を、聡は本当に愛おしく思えた。 「うれしい…」
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