乾杯の後に…

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悩んだ末に彩は、聡が深夜に帰って来て自分の隣で寝てしまったのを見計らってベッドを抜け出し、充電器の上に置かれていた聡のスマホを開いてしまう。結婚当初からお互いにオープンが前提だったから、非常時には互いに相手のスマホを使えるように、ロックを解除する暗証番号を教え合っていたのだ。 けれど聡も、彼女とのメールなどを残しておくようなドジはしていなかった。 ただ聡が記念に…とフォルダに保存しておいた海外出張の時の写真を見たとき、彩は何か見過ごせないものを感じてしまった。それは何枚か保存されていた出張先での写真の一枚に過ぎない。他の写真は聡のツイッターや最近始めたインスタグラムにもアップされていて、彩も知っていた。けれどその一枚だけは彩が初めて見るものだった。それが妙に不自然に思えたのだろう。
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