23人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
その一方では、もし自分の疑いが当たっているとしたら…と怯えている自分もいた。受け入れ難い事実を認めなければならなくなるのも、怖かったのだ。
そうして迷った末、聡が目を覚まして起きてきた時、彩は訊ねてしまう。
「あの写真に写っているコって、聡の部下なんでしょ?」
「ン…? 何の写真のこと?」
「あなたのスマホにあった写真。フランクフルトって名前のフォルダに入れてある…」
「なんだ、オレのスマホを見たの? あのさぁ、人のスマホを勝手に見るのって、いいことじゃないんじゃない?」
「出張の時って、ホテルの部屋なんかで打ち合わせするの?」
「簡単な打合せだったから、たまたまオレの部屋を使っただけだよ」
「なんかさぁ、上司と部下っていっても男と女なんだから、そういうことって普通はしないでしょ?」
「だけど簡単な打合せの時に、いちいちホテルの会議室なんか使っていられないだろ?」
「だったらロビーで打ち合わせすべきなんじゃない? ベッドの脇で打合せなんて、やっぱり変よ!」
最初のコメントを投稿しよう!