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「まだ籍は抜いていないけど、別居中なんです。彼、他に女性ができちゃって…。アタシもいけなかったんだけど、気が付いた時はもう手遅れだったみたい」
彩自身が、そんな会話をしている自分に驚いていた。ごく親しい女友達以外には実家に戻ったことを知られるのも嫌で、聡と暮らすマンションを飛び出してからは自分のインスタグラムも更新していなかったのに…。
「いいんです…もう決めたから。これからは自分で生きていこうって…」
なぜか自分でも意識しないうちに、自分は独り身だと先輩に説明していた。
「先輩は、結婚してないんですか?」
「アハ…君と同じだよ。夫婦と言っても、もうカタチばかりになっていてね…。まだ住んでいる家は一緒なんだけどさ。オレも仕事ばかりで、家庭を顧みなかったからいけなかったんだけどね。気が付いたら妻は子どものことばかりに夢中になっててさ、オレのことはほとんど無視。もう典型的な家庭内別居さ」
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