乾杯の後に…

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「ここじゃイヤ…」 彼が立ち上がり、彩の腕を引っ張って起こしてくれてた。そしてベッドへと連れていかれ、また押し倒される。唇を奪われ、最後の下着が剥ぎ取られていく。 ふいに彼が起き上がり、彩に背中を向けてシャツを脱ぎ始めた。彩も起き上がって後ろから抱き付き、ネクタイを緩めるのを手伝う。 そして背後から首に腕を巻きつけ、彼の首筋にキス。向き直った彼がたくましい裸の腕で彩を引き寄せ、軽々と膝の上に乗せられる。自分が全裸であることを思い出して、恥ずかしい部分を隠そうとする手を、彼の手が力任せに引きはがし、無防備にされてしまう。 再びふたりでベッドに倒れ込むと、まるで互いを貪り合うように身体中にキスし合い、絡み合った。彩自身が、こんなに男性とのSEXに積極的になっている自分に驚いていた。 その先は、「照明を暗くして」…なんて言っている余裕もなかった。ただ天井のランプの眩しさと、その逆光で影になった彼の身体が、瞳の奥に残像のように焼き付いていった。その強引さや猛々しさは、聡にはないものだった。 翌朝、家に帰る電車の中で、彩は考えていた。
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