乾杯の後に…

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こんなに簡単に、他の男と寝ることができてしまう…。いままで自分にはあり得ないと思っていた「他の男性との一夜」が起きてしまった驚きが大きくて、自分で持て余していた。 そして時間が経つにつれて頭に浮かんでくるのは、聡が部下の女性と寝た時はどうだったのだろう…ということだった。成り行きだったのだろうか…。躊躇いはなかったのだろうか…。良心の呵責は…。 不思議と彩自身は、良心の呵責を感じていなかった。 自分も、抵抗なく寝ることができてしまった…ということは、やはり聡は深夜帰宅の度に、毎回あの内田とかいう部下のOLと寝ていたのではないのか。そう思うと無性に腹が立った。 一方で、表現はおかしいかも知れないが、まるで肩の荷が下りたような気がした。 もちろん聡に謝るつもりなど毛頭なかったが、これで聡と対等になったような気もしていた。そして不思議なことにあれだけ許せなかった聡を受け入れて、また一緒に暮らすことも不可能ではないような気もしてきた。 「逢いたい」…そう言ってきたのは聡の方だった。
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