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レジにいた中年の女性が出てきて、聡の持つ割れたワインの袋を覗き込み、袋ごと引き取ってレジカウンターの中に置くと、ワインの棚に案内してくれる。
「いくらぐらいのワインだったんですか?」
聡が財布を出しながら尋ねると、店の女性はキョトンとした顔で言った。
「あら、この子達のお父さんじゃないんですか?」
「いえ、偶然この子が転んだところに通りがかっただけなんですけど、なんだか放っておけなくってね。せっかくの母の日のプレゼントらしいし…」
そう言いながら、父親に見られた事がちょっと照れくさいような気がして、赤面してしまった。
「そっか~、どうやらお母さんへのサプライズ・プレゼントのようね」
そう言いながら、店の女性が棚から一本のボトルを取ってレジのカウンターへ持って行き、ネックにリボンを巻いて結んで、ギフト用の紙袋に入れる。
棚の値札を見ると二千四百円。千円札三枚を差し出す。
「じゃあ、そうね…千二百円いただきます。二本目だから割引…ってとこかな」
女性は千円札を二枚だけ受け取って聡にお釣りの小銭を渡し、新しいワインボトルの入った紙袋を女の子に持たせた。
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