乾杯の後に…

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昨夜は焚火を囲んでみんなでビールやワインを飲み、いろいろな話をした。月明かりに浮かぶ幻想的な湖と森。そして頭上に瞬く信じられないほど沢山の星。月が出ていた間はそれほどでもなかったけれど、月が沈んでからは子供の頃に見たプラネタリウムそのものだった。その圧倒的な解放感にそれこそ時が経つのも忘れて語り合い、キャンプ仲間のギターに合わせて歌って過ごした。 気が付いたらもう焚火の灯りに集まってくる蛾さえ平気だったし、ビールとワインでトイレの頻度が増えるに従って、懐中電灯を抱えてトイレへ行くことにも抵抗はなくなっていた。 そしてキャンプ仲間の朝は早い。みんなそれぞれのテントに戻って寝たのが深夜だったにもかかわらず、日の出前にはまた誰かが焚火の火を起こして湯を沸かし、コーヒーを淹れていた。 朝は当然、生理的に排泄の欲求が生じる。彩の場合は朝食後に大の方をもよおすのが習慣だった。
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