乾杯の後に…

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人を呼んで華やかなパーティの風景と作った料理を写真に撮り、当時流行り始めていたインスタグラムに載せる。これはもう彩にとっては生き甲斐のようなものだった。そのために彩は一生懸命に凝った料理を作り、聡はそんな彩に協力した。彩がそこまでこだわる以上、彩の描きたい理想の夫婦像に協力するのは、夫としての義務のように思えたから…。 なごやかにパーティの時間は過ぎていった。 聡が客の話し相手になりながらワインを薦め、うまくホスト役を務めてくれていたから、客たちの談笑も尽きない。いつもどこかで賑やかな笑い声が沸き起こっていた。彩がひとしきり料理を作り終えてキッチンを出てくると、聡は会話の輪に招き入れて話を繋いでくれ、自分は新しいワインのボトルを取りに行く。彩にとっては自慢の旦那…友達の眼にはそう映っていたろう。 彩がリビングで話の輪に加わると、その日来ていた学生時代からの親友の美香が、読者モデルとして彩が載った雑誌を棚から引き出し、話題をそちらに振ってくれた。
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