乾杯の後に…

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すると、なんと別の友人が職場の同僚だと言って連れてきてくれた女性が、自分も読者モデルとしてファッション誌に載った事があると言った。少し年上で読者モデルになったのは彩より二年ぐらい前の事らしいが、彩と友人達はその話題で思いっきり盛り上がってしまった。それぞれ自分の載った雑誌の特集のこと、撮影の時に着たファッションの話、どんな背景でカメラマンがシーンをどう演出しようとしていたか、編集者が付けたタイトルやコメント、話のネタは尽きない。 そんな話に夢中になっていて、気がついたら時計の針はすでに夜十時を指そうとしていた。主菜の丸鶏を食べ終えて二時間。みんなそろそろ小腹が空いてくる頃だった。けれども彩にしてみたらせっかく読者モデルの仲間が見つかり、想い出話から当時のファッションの話まで次々と話題が繋がってこれだけ盛り上がっているのだから、デザートと紅茶を出してお開き…としてしまうには惜しかった。 「何かつまむものって、あったっけ?」 聡が空になったチーズや生ハムの皿を目配せして、彩に尋ねた。 「冷蔵庫に何かあったと思ったけど…」 すると聡が言った。 「じゃあオレ、何か作るよ」
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