乾杯の後に…

98/205

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
聡がキッチンへ行っている間、何を作っているのか彩も気にはなっていた。けれどもこれだけ話が盛り上がった時に、それも彩自身が話題の中心になっている場なのだから、いまは席を外したくなかった。一方では自分がやりたいと言って開いたパーティなのだから聡にやらせるのは悪いとは思ったし、最後までみんなの食べるものには責任を持ちたかったのだが、結局それよりもファッション誌と読者モデルの話の輪にいる楽しさの方が勝った。 やがて二十分ほど経って、聡が大皿に盛ってキッチンから運んできたのはパスタだった。 「シラスおろしと大葉のパスタなんですけど…ね。皆さんのお口に合うかどうかは解りませんが…」 そう言いながらテーブルに人数分の小皿とフォークを並べていく。 彩にしてみると、眼の前に置かれたパスタが果たして食べられる代物なのかどうか…を心配するより、「あらヤダ…この人ってこんな事もできたんだ」の驚きの方が強かった。それほど聡がパスタをトングでみんなの皿に取り分け、その上に大根おろしとシラスを乗せて、そして刻んだ大葉とさらに海苔を振っていく手つきは様になっていたから…。 「アッ…おいしい! サッパリしてて…」
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加