乾杯の後に…

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「うわぁ~この大根おろし、メッチャ滑らか」 ひと口食べた友人たちが、次々と言った。 「すっごくキメが細かいんだね」 「どうやって作ったんですか?」 聡が微笑みながら答える。 「大根をおろす時にね、おろし金に円を書くように廻しながらおろすんですよ」 「へぇ~たったそれだけで、こんなに滑らかになるんですか」 「でも大根の汁がやたらと出るから、ちゃんと布巾で濾さないとベシャベシャになっちゃうんだけどね」 「それだけ丁寧に作るから、こんなにおいしくできるんですよね…きっと」 「それとパスタを茹でるときにね、塩と一緒に出汁醤油を入れてみたんです。でも大根おろしにも醤油ダレをかけてるし、しらすの塩気もあるからちょっとしょっぱくなっちゃったかな」 「いえいえ、とってもいい味加減ですよ」 「こんなおいしいパスタ、はじめてかも…」 あっという間にその場の話題をさらって、聡もちょっと得意気だった。 考えてみれば聡は大学入学以来ずっとひとり暮らし。彩と結婚する前は自炊をしていたのだから料理ができて当たり前なのだが、こんなにも上手に作るとは…。
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