はるかとかなた

4/11
前へ
/11ページ
次へ
それから、毎日彼は朝、晩とうちの店の前を通って僕に挨拶をしていくようになった。 それを見た女性のお客さんが彼が来る時間に来るようになった。 最初見た時も格好いい高校生だなと思ったし、背も僕よりだいぶ高いし。っていうか僕がそんなに背が高くないのもあるけど。 モテるんだよね。多分。そう思ったら、胸がチリッとした。 彼が働いてるところを見てみたくなった。女性のお客さんにチヤホヤされてるのかなとかモヤモヤしてきたから。 いつものままで行く勇気がなくて、変装してみた。いつも一見女性に間違われるくらいだから、縛っている髪をほどいて、メガネをかけてピンクのオーバーサイズのレディースのシャツとスキニーパンツを履いて。 彼の働くカフェは聞いてたから、すぐに見つけた。 入店して、案内されて普通にコーヒーを頼んだ。彼がチラッと見えた。やっぱり、女の子に笑顔を向けていた。営業スマイルだって分かってるけど、なんとなく嫌な感じがしたんだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加