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やってきたコーヒーを1口、口に含んで俯くと、人影がやってきた。かなたくんだった。
「お姉さん、お一人ですか?」
いつも、こんな風に女性に話しかけてるのかな?何だか嫌だな。
「はるかさん、どうして変装までして来たんですか?」
「分かったの?僕だって。」
「好きな人ですよ?分かりますよ。」
「そっか。モテるんだね。かなたくん。」
「そんなことないですよ。あ、呼ばれたんで中に戻りますね。」
笑顔を残して彼はバッグヤードに消えていった。
その日の夜、彼はバイト帰りに僕の店にやってきた。
「遅くにすみません。」
「いいけど、どうしたの?」
「何で今日来たんですか?本当は。」
「君が働いてるところ、見たかったんだ。あとかなたくんモテるんじゃないかなって。」
「みんなお客さんとは付き合わないようにしてるし、俺は好きな人がいますしね。」
「僕のこと?」
「はい。だから安心してください。」
「何だか、僕が嫉妬してるみたいに言うね。」
「違いますか?」
「…違わない。」
そうだ。僕はモテるかなたくんにモヤモヤしてたんだ。で、嫉妬して。見に行ってまたモヤモヤしてたけど。今安心したんだ。
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