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神崎の言葉に、誇張や嘘は無さそうだった。少なくとも晃嗣はそう感じた。では本物のオアシスで待つ男性たちの中に、自分のパートナーになる人がいると期待してもいいのだろうか……晃嗣は自分の幼稚な発想に、胸の中で失笑した。
「スタッフと過ごす時間が柴田様にとって、楽しく安らげるひとときであるように……短い時間であっても夢幻ではないように、務めさせていただきます」
神崎から料金表を見せられて、相手の好みを尋ねられた頃には、晃嗣はすっかりその気になってしまっていた。
初回はお試し価格でいいという。派遣型風俗など晃嗣は使ったことがないし、友人知人からも使った話は聞かないため、相場がわからない。しかし桂山の言う通り、お試しであっても「高級」な店であるということは感じた。
感染症のこともあり、桂山が会員だった頃に比べると、かなり事業を縮小していると神崎は話した。それでも晃嗣が好みの容姿や、どのように接してほしいのかをざっくり伝えると、彼女は小さく頷いた。
「ご要望にお応えできる子がいます、タチなんですけれど、如何でしょう? うちは売り専ではありませんから、本番行為は禁止しておりまして、タチでもネコでもサービスとしてはそんなに変わらないのですけれど」
だからデリヘルと桂山は言ったのか。晃嗣は納得する。晃嗣はタチだが、しないならばタチの子でも構わないと思った。そもそも初対面の相手と、最後までやりたいとも思わない。
「あ、ではその人で……」
晃嗣は神崎に答えた瞬間、恥ずかしさとときめきに胸の中を蹂躙されてしまった。男を買うなどといういかがわしい行為に手を染めることにはやはり抵抗があるが、5歳下の売れっ子が晃嗣の出した条件に合致すると聞かされ、どんな子なんだろうかと期待感が膨れ上がってしまう。
息が上がりそうになるのを神崎に悟られないよう、晃嗣はコーヒーに口をつけた。桂山にあんな言い方をしたことを、今度謝ろうと思った。
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