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星は五度、廻る
「……さて、何から話したらよいかな……」
そう言って頭を掻く星羽――趙明星皇太子――はそう言った。
「……まず、身分を偽っていてすまなかった」
ぺこりと麗華に向かって頭を下げる明星は、頭から被っていた布がないと、男性にしては長髪だが、しっかりと男の顔で、ゆったりとした服も頭から被った布も、女性らしくない体つきを隠す為だったのだと知る。
あの後、美琪と惠燕付きの女官たちが青い顔で主人から預かっていたという解毒剤を差し出した。
美琪と惠燕は自作自演の暗殺劇だったのだ。明星はそのことにも腹を立てていた。
「麗華殿と初めて会ったのは五年も前になるか。あの時の星読みがなかったら、今頃何処かの地方で野垂れ死にしていたかもしれぬ。
戻って吉を待つべしとの星の通り、私は宮に戻り、清泉を始め仲間と一緒に組んで、先帝の血を絶やさぬよう後宮に身を潜めた。
隠れていた反対勢力は分かっていたのでな、それが本性を現すまで待っていた。
清泉は私と同じく毒物に慣らされていたので、多少の毒では死にはせぬ。
だが、麗華殿を危険に晒したことは謝っても謝り切れぬことだ。すまぬ。私がもう少し早く立ち回ればよかった……。
清泉の件も。随分冷たく当たっただろう。あれも武郭たちを騙す為だった。不快な思いをしていたら、謝らせて欲しい」
もう一度明星が頭を下げる。でもあれは麗華が火に油を注いだと言っても良いくらいだし、清泉は清々しいほど悪に厳しい人だったので、明星が謝ることではない。
「いえ! 私こそ、皇太子さまとも知らず、色々と失礼いたしました。それで……、あの、すみません……」
折角明星がくれた鏡を割ってしまった。懐に持たず、鞄にでも大切にしまっておけば良かった。そう言うと明星はやさしい眼差しでにこりと微笑んだ。
「あの鏡が麗華殿の命を守ったのかと思うと、私は、私と貴女の間に運命を感じるよ。……私は貴女の星読みで運命を手に入れた。貴女はどう思われるか?」
――『きっと君の占いを真実にして見せる』
五年前、明星が言った言葉だ。あの言葉の通り、明星は麗華が読んだ星を真実にした。では、麗華は?
麗華もこの五年間、あの子をもう一度占ったらどんな星が読めるのだろうかと思いながら練習をして来た。清泉に請われて読んだ星も、五年前のあの出会いに端を発している。
「……私も、あの時のことを繰り返し思い出しておりました……」
麗華は続ける。
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