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〇4終幕
里中は、スタジオ前のロビーのソファにもたれていた。若手プロデューサーの八野が近づき、里中に声をかけた。
「今日もありがとうございました。息子さん面白かったですね」
「……ありがとうございます」
「浮かない顔してますね? あんなに爆笑をとったのに」
「いえ……」
「2階の208が息子さんたちの楽屋になってますんで、良かったら」
「……お気遣いありがとうございます」
里中は苦笑いを浮かべそう言った。八野はニッコリと笑うと、「これから見送りがあるんで、では」と頭を下げ、離れていった。
里中は膝の上で拳を握りしめた。
『負けを認めろ。面白かったじゃないか……』
里中は目をつむり頷き、そして勢いよく立ち上がった。
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