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収録が近づく。里中は観客の中に混じり、ジャケットの襟を正す。いつも以上に気合が入る。まさか息子とこの位置で相まみえることになるとは思わなかった。
アシスタントディレクターが前説を始める。拍手のタイミングや、恥ずかしがらず大きな声で笑う様にという基本的な注意を聞く。
アシスタントディレクターの声の元、司会のタレントがスタジオ内に現れる。客席からは歓声と拍手。
しかしボルテージは高まっていない。おそらく今日の観客の笑いは鈍いのだろう。笑いを波及させるのには時間がかかるかもしれないと、里中は思った。
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