6人が本棚に入れています
本棚に追加
タクシーは迷う事なく走り続ける。
「あの、私、何処に向かうか伝えていないと思うのですが」
運転手はバックミラー越しに視線を向けて
「先程の男性が住所を教えて下さいましたよ」
「へ⁉︎」
何で陸が?
念のため確認したが、やはり自宅で合っていた。
ふと、スマホがメッセージの受信を知らせる。
スマホを手に取りメッセージを確認した。
〈亜衣。悪いと思ったけど、寝てる間にスマホの連絡先を登録した〉
「はあ⁉︎」
寝てる間という事は、先程のバーにいる間だろう。
〈こんな再会の仕方をするとは思わなかったけど、俺は会えてよかったと思っている。ちなみに、亜衣の住所は前に調べてあった……いつか、会いに行こうと思っていたから〉
いつか会いに……
陸がそう思ってくれていた事が嬉しい。
〈いつか行くよ。亜衣と、母さんに会いに〉
その一文に、胸が熱くなる。
陸と母と3人で。
もう一度、そんな日が来るなんて。
〈母さんによろしく
追伸 亜衣、酒はマジでやめろ〉
「ぷっっ、あははっ」
陸がこんなに心配症だったなんて。
双子とはいえ一応、私の方がお姉ちゃんなんだけど。
離れていた年月は長かったけど、これからまた繋がっていくんだ。
〈お母さん、きっと楽しみにしてる。会いにきてくれた時には、3人でお酒飲みながら語ろうね。家でなら飲んでいいんでしょ〉
陸の心配を嬉しく思いつつも、ちょっとした反抗心を持ちながらメッセージを送信した。
最初のコメントを投稿しよう!