再会は思いがけない場所で

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タクシーは迷う事なく走り続ける。 「あの、私、何処に向かうか伝えていないと思うのですが」 運転手はバックミラー越しに視線を向けて 「先程の男性が住所を教えて下さいましたよ」 「へ⁉︎」 何で陸が? 念のため確認したが、やはり自宅で合っていた。 ふと、スマホがメッセージの受信を知らせる。 スマホを手に取りメッセージを確認した。 〈亜衣。悪いと思ったけど、寝てる間にスマホの連絡先を登録した〉 「はあ⁉︎」 寝てる間という事は、先程のバーにいる間だろう。 〈こんな再会の仕方をするとは思わなかったけど、俺は会えてよかったと思っている。ちなみに、亜衣の住所は前に調べてあった……いつか、会いに行こうと思っていたから〉 いつか会いに…… 陸がそう思ってくれていた事が嬉しい。 〈いつか行くよ。亜衣と、母さんに会いに〉 その一文に、胸が熱くなる。 陸と母と3人で。 もう一度、そんな日が来るなんて。 〈母さんによろしく 追伸 亜衣、酒はマジでやめろ〉 「ぷっっ、あははっ」 陸がこんなに心配症だったなんて。 双子とはいえ一応、私の方がお姉ちゃんなんだけど。 離れていた年月(とき)は長かったけど、これからまた繋がっていくんだ。 〈お母さん、きっと楽しみにしてる。会いにきてくれた時には、3人でお酒飲みながら語ろうね。家でなら飲んでいいんでしょ〉 陸の心配を嬉しく思いつつも、ちょっとした反抗心を持ちながらメッセージを送信した。
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