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3.たくらみ
理沙は小学校からの幼馴染。昔から美人であることを鼻にかけ、事ある毎にマウントを取ってくる嫌な女だ。嫌なら友達を止めればいいのだろうが親同士の仲が良くなかなか縁が切れなかった。
私は理沙とこの男がうまくいくよう画策し、普段のカウンセリングではしないような細かいアドバイスまで行った。彼女の好みを熟知している私だからこそできるこのアドバイスが功を奏し、二人は交際へと発展し結婚の話まで出ている。無論彼は私と理沙が幼馴染だなんてことを知る由もない。
(でもね、これで終わりじゃないの)
これじゃあ理沙にイケメンをあてがってやっただけになってしまう。本番はここから。
(その幸せ、いつまで続くかしらね)
私は自慢話を続ける幼馴染の顔を見ながら腹の中で大いに嗤う。今や理沙の彼は私を誰よりも信頼している。彼にとって私の言葉はもはや神の言葉なのだ。言われたことには必ず従うだろう。そう仕込んだのだから。明日も彼とカウンセリングの予定が入っている。そこで私はこう言ってやるつもりだ。
――あなたならもっといい出会いがあるはず。次の出会いを探すべきだわ。
了
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