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いまだ啜り泣きが支配する部屋で、駆けつけた警察が動き回っている。
孝也もあれこれ質問されているようだ。突然恋人を失った彼の心中は察するに余りある。
今日の同窓会は、高校時代から交際していた孝也と京子の婚約記念パーティーも兼ねていた。幼馴染の孝也と親友の京子。二人のために私が企画したのだ。
ちなみに、先程から隣でずっと泣いている彼女ーー博美も共同主催者だ。当時京子を含めた三人でいつも一緒にいた、もう一人の親友でもある。
「急性の心不全か、あるいは毒物等による他殺か……」
静かな室内にやたら大きく響いた警察の言葉に、参加者全員がハッと息を呑む気配がした。私もまた、話の続きに全神経を傾ける。
「他殺って、ここに居る誰かがやったとでも!?」
「可能性の話ですよ。万が一ご遺体から毒が検出されたら……」
「あんなに皆に愛されてた京子が、恨みを買うようなことがあるわけない! 侮辱するなよ!」
我を失ったように激昂する孝也。こんな彼の姿を見るのは、中2の時に虐められてた私を助けてくれた時以来かもしれない。
警察は慣れた様子でなだめる。
「ですから、あくまで可能性です。一応ここにある食べ物等を調べなければという意味で……」
「それなら、ここに居る全員が同じ物をシェアして食べたはずだ! 食器も重ねて置いてあった物を俺が京子に手渡した! そんな状況で、誰がどうやって毒を盛ったって言うんだよ! なあ!
だいたい俺は今日ずっと京子の隣に居たんだぞ! 怪しいことなんて何も……」
何かに思い当たったように突然絶句した孝也を訝しむ警察。誰かが「あっ」と小さな声を漏らした。
「カップケーキ……」
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