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その日は晴れていた。まさか雨が降るなんて思いもしなかった。ソーダ水のような青空とひまわりの黄色がとても夏らしいそんな風景の中をわたしは歩いていた。
帰り道、わたしは強度の近眼なのにコンタクトレンズを落としてしまった。地面を這いつくばって探しても見つからなくて泣きそうになる。
探しても探しても見つからないので諦めて家に帰ることにした。
その時、突然ザーッと雨が降り出した。
「あ、雨が降ってきた。傘なんて持ってきてないよ」
わたしは思わずぽつりと呟いてしまった。
雨がわたしとひまわりを濡らす。コンタクトレンズを落としていなければ雨に濡れたひまわりが綺麗に見えただろうなと思うと少し残念だった。
その時。
「傘を持っていないのですか？」
男性の優しい声が頭上からふわりふわふわと降ってきた。
顔を上げると男性らしい人が青色の傘を差し出していた。ぼやけて見えた傘の青色がとても綺麗だなと思った。
「えっ？ あの……」
「良かったらどうぞ」
「ありがとうございます。でもお兄さんが濡れてしまいますよ」
「大丈夫ですよ。折り畳み傘を持っているので」
男性がそう言ってトートバッグから折りたたみ傘を取り出した姿がぼやけて見えた。
わたしはどうしようと思いながら男性と青色の傘を交互に眺めた。
「気にしないでどうぞ」と言われわたしは気がつくと青色の傘を受け取っていた。
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