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まさか、誰かいるの? と言うか笑い声が聞こえてきたのだからいるよね。わたしは、恥ずかしくてこの場から逃げ出したくなった。
穴があったら入りたい気持ちになった。いや、穴がなければ自ら掘ってでも入りたいほど恥ずかしいよ。
どうしよう。本当に穴でも掘ろうかななんてことを考えわたしが地面を眺めていると、
「そのパン美味しいのですね」と柔らかい声が聞こえてきた。
「……あ、その」
わたしは恐る恐る顔を上げた。
すると、目の前に男性が立っていた。その男性は笑みを浮かべていて頬にえくぼが出ている爽やかでちょっと可愛らしかった。
「あ、突然すみません。ただ、美味しいものを食べて素直に美味しいと言えて笑顔になれるのっていいなと思いまして」
男性はそう言ってニコニコ笑っている。
「……ありがとうございます。このパンが美味しくて思わず声が出てしまいました」
わたしは照れ笑いを浮かべ頭を掻いた。
「こんなに綺麗な空の下でパンを食べているんですから美味しい~って叫んでもいいと思いますよ」
男性はそう言ってニコッと笑った。
やっぱりえくぼができてちょっと可愛らしいなと思いわたしの頬は緩んだ。
「そうですよね。空はとっても綺麗ですしひまわりも太陽の光を浴びて綺麗に咲いているんですもんね」
わたしは、空を見上げそれから男性のえくぼのできる柔らかい顔を見て言った。
この人の笑顔を見ているとなぜだか素直でわたしらしくいられる。会ったこともないのに不思議だなと思いながらじっと男性の顔を見つめてしまった。
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