ひまわり畑と降り注ぐ雨と優しい君の声

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男性は少し間隔をあけてベンチに腰を下ろした。そして、『ベーカリーミナミ』のビニール手提げ袋からパンを取り出した。 あ、わたしの好きなホットドッグだと思った。男性はビニール袋からホットドッグを取り出し豪快にかぶりついた。 美味しそうだ。わたしも食べたいなと思った。男性の美味しそうにホットドッグを食べている姿をぼんやりと眺めてしまった。 「あの、俺の顔に何かついていますか?」 男性がこちらに振り向き言った。 「い、いえ、す、すみません。何もついていませんよ。そのホットドッグが美味しそうだなと思って見てしまいました」 わたしは、ぺこりと頭を下げた。 すると、「あははっ、めちゃくちゃ正直ですね。食べますか?」 なんて言って食べかけのホットドッグを差し出してくるではないか。 「あ、えっと……」 「冗談ですよ」と言って笑った男性の頬にはやっぱりえくぼができた。 「あはは、冗談ですよね」とわたしも笑ってみせた。けれど、ちょっとドキドキしてしまった。
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