ひまわり畑と降り注ぐ雨と優しい君の声

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「はい、恐らくそのもしかしてだと思いますよ。先日傘を」と男性が言ったところで、わたしは、「あの傘を差し出してくれた優しい人なんですか!!」と大声を上げてしまった。 「はい、傘を差し上げました。でも優しくなんてないですよ。俺は傘を二本持っていただけですよ」 男性はそう言って笑った。やっぱりえくぼが頬に出て男性だけどなんだか可愛らしくてそのえくぼから人の良さが際立っている。 「めちゃくちゃ優しいですよ。あ、でもどうして言ってくれなかったんですか?」 「傘を差し上げましたなんて言わないですよ」 「そんなものなんですか?」 「はい、そんなものですよ」 太陽の光を浴びてキラキラ輝くひまわりとソーダ水みたいな青空がとても綺麗だった。そんな風景の中えくぼが素敵な男性とベンチに座っているなんてちょっと嬉しくなる。 「あの時コンタクトレンズを落として視界がぼやけていたんですけど、でもどうしてわたしの目がちゃんと見えてないって気がついたんですか?」 わたしは不思議に思い聞いた。 「それは、俺もコンタクトレンズを付けているのでそうかなと思ったんですよ」 男性はわたしの顔を見て言った。
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