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「小学生の頃の俺は光二と言う名前が好きじゃなかったんだよ。だから光と名乗っていました。ごめんなさい」
そう言って光二さんはぺこりと頭を下げた。
「どうして光ちゃんじゃなかったんですか?」
「それは……光の方がかっこいいかなと思っていたからです」
光二さんはそう言って顔をみるみる真っ赤にさせた。その顔がなんだか可愛らしかった。
光二さんこと光ちゃんは隣町の小学生だった。わたしがお母さんの仕事が終わるのをひまわりが咲き誇る公園のベンチで待っている時に光ちゃんと出会った。
光ちゃんとホットドッグを頬張り公園のベンチに座り話をすることが日課になっていた。
わたしは、光ちゃんのことをずっと女の子だと思っていた。だけどある日。
「ねえ、日真莉ちゃん、光のこと女の子と間違えていない?」と聞かれた時はびっくりした。
えくぼが可愛らしくてずっと女の子だと思ってはいたけれど途中から男の子なのかもしれないと思ってはいた。
「えっ? だって、光ちゃん女の子でしょ」とわたしが言うと光ちゃんは顔を真っ赤にさせて「……男の子だよ」と言った。
「光ちゃん……」
「光、いや、僕は日真莉ちゃんのことがずっと好きだった」
顔を真っ赤にさせながら言ってくれたのにわたしは恥ずかしくて逃げ出してしまいそれからあのひまわりが咲き誇る公園に行かなくなってしまった。
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