金木犀の便り

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 だから歳を重ねた今は、金木犀の香りがすると、君にそろそろ連絡しようかな、そういう知らせなんだなと、僕は思うんだよ。  忘れたいと思っていた香りを、今は忘れられなくて良かったと思っているよ。  いつかはどっちかが先に忘れちゃうのかな?  しょぼしょぼの瞼の下に、オレンジを映す頃には。 それまではしばらく、嫌なふりを演じようか。
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