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「テメェら、学校はどうした?」
月曜日にも関わらず真昼間から顔を出す3人に向けて当然の疑問をぶつけた。
「おばさんだって仕事どうしたの?」
「誰がおばさんだ」
「……私から見ればあなたはおばさん」
「メスガキんちょがほざくな。いずれ失うものを誇示してもみっともないだけだぞ」
「それはもう失くした人からのアドバイスってことでおk?」
「失くしてねぇわ。30後半のババアから見たらまだまだ若いもの認定されてんだよ」
「それじゃああなたは僕たちからしたら20後半のおばさんだね」
「こんの、不登校児共が」
デリカシーにまとわりつくオブラートを剥がして、無神経なことを言う。
「無職ニート」
「祖母のすねかじり」
「アラサー乞食」
遠慮なく暴言を吐いているからか、ガキどもの物言いも荒くなってきた。
「うるせー。学校すらまともに行けねぇやつらにやんややんやと言われる筋合いなんかねーっつーの」
「学校行ったから何、偉いの?」
「なら国民の9割は偉人だね聖徳太子もびっくり」
「……『自分はかならず聖人で、相手がかならず愚かだというわけではない。皆ともに凡人なのだ。』……凡人」
「指差すな」
持っていた携帯を投げつけてやろうかと思った。
「そんなんで生きていけるの?」
「なら今の私は屍かゾンビか?」
「……妖怪すねかじり」
「それは妖怪がかわいそうだよ」
黙っていれば好き勝手言ってやがる。
「……お母さんがね、人生には絶対にその状況になってはいけない3つの『いき』があるって言ってた」
あぁあれか、と何やら3人で楽しそうに話している。そのまま3人の世界で遊んでてくれ、と携帯に目を落とす。
「息をしているだけでお金が消えていく」
「行き遅れて焦燥感に駆られる」
「生きていけないかもしれない、という恐怖心で夜も眠れない」
「ケンカ売ってんのか?」
思わず突っ込んでしまう。そしてすべてが当てはまりそうで口元がひくついた。
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