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「他部署の野郎がイキって管轄部署を引っ掻き回した結果、成果が出てイキリ野郎が賞賛されるより面白くねぇぞそれ」
「どういう……例えな、んですか……それ?」
髪の毛がぐしゃぐしゃに乱れており、まるで髪を乾かさずに寝た寝相の悪いガキみたいな頭をしていた。
「汗たらすなよ汚ねぇ、シャワー浴びてそのまま帰れ」
「……お姉さんに汚いなんて言われたくない」
「あぁ?」
「そーだそーだ」
「いつも同じ服着てるくせに」
「なめんなガキども」
私は隅に置いてあるキャリーを開け、服を引っ掴んで掲げる。
「全部同じ服じゃボケ」
ポカンとハト豆の顔で固まっていた。なんとも間抜けで愉快で、少しだけニヤけてしまう。
「……女っ気ない」
「てめぇに言われたくねぇ」
手を離して服を落とす。うわぁみたいな引いた顔をしていたガキどもにイラッとした。
「テメェらまじで学校に行け、勉強しろ」
「学校なんてつまんないし」
「勉強なんてここでもできるし」
「……ずるくて汚くて臆病な大人は学校では会えないし」
「そんなこと言って、てめぇらの親は知ってんのかよ」
3人は顔をおもむろにそらし、吹けもしない口笛を鳴らしていた。面白くもねぇ寸劇といい、こいつらは何がしたいんだ。いや、何もしたくないから何もしなくていいように何かをしているのか、うん、わからん。
「まだガキなんだから親の言うことは聞いておけ。一丁前に自由を謳歌するなら自立してからにしろ」
「………………なんか……たくない」
言ってから図星だったな、と感想を抱いている最中にニヒル短髪が、ただでさえ小さい声なのにも関わらず何かつぶやいたのが聞こえた。
「あぁ? 聞こえねぇよはっきり言え」
「親の言うことなんか! 聞きたくない!」
声がデカかった。クリクリ坊主とニヤケ長髪が部屋の隅へ逃げている。
「……なら最低限静かにしてろ。あの忘年会みたいなのもやめろ、耳障りだ」
すぐに地雷だと察する。ただでさえめんどくせぇのにこれ以上関わられて巻き込まれるのだけはごめんだった。
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