バトル・トラップ

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出口まであと少し。 ところが、ここに来て俺の体は急激に動きが鈍くなってきた。 呼吸が荒くなり、そういえば左腕の感覚も何かおかしい。 ――さっきの矢……毒でも付いていた……? 一応、毒消し薬は持っているものの、迫り来る地響きは、どうやら治療の時間も与えてくれそうになかった。 とにかく今は先を急ごう。 ――出口前に、アレもあるハズだし、な。 そうして俺は、やっとの思いで出口の一つ前の部屋、だだっ広いホール状の空間にたどり着いた。 天窓から差し込む傾いたオレンジの光が、探索にずいぶんと時間をかけてしまった事を告げている。 だが俺は慌てず、壁に沿って出口側の扉へと向かった。 そして、扉を適当な石を使って開けた状態で固定し、一旦、ホールの方に戻る。 慎重に数歩、ホール中央へ歩を進めたところで、向こう側にゴーレムが姿を現した。 俺を見つけると案の定、何の躊躇もなくホールを突っ切って向かってくる。 俺は、奴がほぼ中央に来たタイミングを見計らい、「その床石」を踏み込むと、そのまま踵を返し開けていた扉の向こうへ逃げ込む。
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