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視界の端で、ゴーレムの体が大きく前へ傾くのが見えた。
一瞬遅れて、突き上げるような大きな揺れと巻き起こった土煙が俺を襲う。
どうやら、もくろみは上手くいったらしい。
実はさっきの床石は、ホール全体に仕掛けられた罠の起動スイッチだ。
床を構成する石同士の結束が解け、一定の荷重がかかる――つまり、上を歩いたりした途端にそこから床が崩れだし落下する。
超重量級のゴーレムは尚更、見事にこの落とし穴にハマってくれたという訳だ。
とにかくおかげでひとまずの危険は去った。
なかなかおさまらない土煙とパラパラと降る遺跡の破片に、若干不安を覚えるが……
って、オイオイ。
ここまで来て遺跡ごと崩壊したりしないだろうな?
俺は急いでもう目と鼻の先だった出口から転がるように脱出し、手近な木と草の陰に身を寄せて息をひそめた。
しばらく様子を伺っていたが、幸い、遺跡が崩れる事も、ゴーレムが這い出てくるような事もなかった。
ふぅ、と安堵の息を吐き出すと、なりを潜めていた痛みと疲労が騒ぎ出す。
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