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◆
「……100ゴールド」
「はあ!?」
かぶり気味に思わず出た俺の大声に、道具屋のオヤジは顔をしかめた。
「俺の話、聞いてたか?これはかなり強力な癒しの宝珠だぞ。明らかにゼロの数足りないだろ!」
掴み掛からんばかりの勢いでオヤジに迫るが、さらに顔をしかめて首を振る。
「……って言われてもな。現状、これはただのガラス玉だ。ケガを治したってのが本当なら……アレだ、力を使い尽くしたんじゃないのか?」
なんて事だ。
俺の傷を治したせいで、宝の価値が下がってしまうとは!
「……で、どうする?」
愕然とする俺にオヤジが尋ねた。
「……いい。止めた」
我に返った俺は、そう言って宝珠を自分の懐にしまう。
「いいのか?普通の店じゃ10ゴールドにもならんぞ?それともなにか?自分のお守りにでもする気か?」
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