バトル・トラップ

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少なくはない複数の足音と、時折、それに混じる獣の声。 そして、奴らの姿が見えた。 直立二足歩行する犬頭のモンスター、十数匹のコボルドの集団だ。 そう、これが探索を手間取らせ理由の一つ。 かつての繁栄はどこへやら、神殿はすっかり魔物の巣窟と化していたのだ。 そのうち向こうも俺の姿を見つけたらしく、さらに速度を上げ迫って来る。 最弱の部類のモンスターではあるが、なんせ、数が多い。 多少、腕に覚えがあるといっても、盗賊の俺は、戦闘の専門家じゃあないんだ。 まともにぶつかっては、正直、分が悪い。 奴らもそれを承知だから、ここまでしつこく追って来るのだろう。 上の扉は、ワケあってまだ開けられないし、通路は長い一本道で、逃げ道などない。 ――お互い様、だけどな。 俺は、右手の『切り札』を握りしめた。 コボルドたちは、目前にまで迫っている。 ――でも、まだだ。あと、もう少し…… 武器らしい武器も持たず、動かない俺を見て、奴らはますます勢いづいて、声を上げる。
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