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……と、何やかんやあって私は正式に二代目勇者として認められ、山菜売りの籠を下ろし、代わりに聖剣を携えて魔王討伐の旅路に立った。
山菜売りは健脚だが、腕力に欠ける。そこは腕っ節の強い仲間達が何とかしてくれるだろう。
荷々との約束を果たすため、私は旅の先々で起こる出来事を一つ残らず記憶しようと努めた。
例えば戦士育成学校で落第したり、
宿屋でぼったくられたり、
酒を飲み過ぎて聖剣を紛失したり、
パーティ内恋愛で揉めたり、
魔物をペットにしたり、
知らない野草を食べて腹を下したり、
洞窟で遭難したり、
仲間が戦いで一人死んだり、
また一人死んだり、
また一人……
……どれもこれも横穴に帰って荷々に話すのが待ち遠しい。
そして微妙に脚色され、あたかも自分が旅したように荷々が酒屋でぺらぺら喋るのを肴に、私は蜂蜜酒を飲む。ああ楽しみだ。
そう思えばどんな苦境も耐えられるよ。
待っててね。
荷々、店主、管理人、横穴の皆。
ママ。
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