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別れよう〜貴史サイド〜
和がそういう奴やってわかっとたのに。
俺はあいつの気持ちがわからんようになって別れを言い出した。
ちなみに和ちゅーんは遊佐和威言うて俺の彼氏やねん。
『話があるんやけど。時間作れへんか?』
そうメールした。
俺たちは一緒に暮らしとるんや。
最近はお互い忙しいから会う時間が減った。
『明日までイベントだから。明後日には帰ってくる』
そう和からメールがきた。
『なら、明後日の夜話しするから家にいてや』
和からは了解のメールがきた。
「もう、無理なんかな」
俺はそう呟いた。
和が好きなのに。
あいつのことがこんなにも好きなのに。
別れたくないけど。
別れるしかないやんか。
こんなぎくしゃくしたまま一緒におるんは嫌やろ?
*********
「ただいまー」
「貴史、おかえり」
「もう帰っとたん?」
「早めに帰って来れたから」
「いいにおい。なんか作っとった?」
「あぁ。肉じゃがと味噌汁とほうれん草の胡麻和えとサラダ」
和は和食作るんが得意。
んで、めっちゃ美味い。
「腹減ったし和の作ったの食いたい」
「じゃあ持ってくるから。手洗って来いよ」
さっさと洗ってこようっと。
「おぉっ。相変わらず美味そうやな」
「お世辞はいいから食えよ」
「お世辞じゃないんよ?」
「いいからっ!」
和は褒められるとこんな風に照れる。
こういうとこは、ほんま可愛いんやけどな。
本人は可愛い言われるん嫌がるからあまり言わへんけどな。
男に可愛いは言ったらあかんな。
「あー久々の和の飯美味かった」
最近は和は地方のイベントでの仕事が多くてあまり家におらんかった。
だから、1人だとコンビニ弁当になっとた。
和の飯に慣れたらコンビニ弁当は美味しくないちゅーか。
「なぁ、話って?」
「……和。俺たち別れよう?」
和はどう思っとるんかな?
「わかった。早めに出ていくからすこしだけいさせてな」
あっさり承諾した。
そっか。
もう俺のことは好きやなかったんやな。
「次住むんが見つかるまでいてくれてえぇから」
けど。
あとになって後悔することになるとはこの時は全く思ってへんかった。
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