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田代真由との関係
「和、真由やけどな?」
「なんだよ?」
「ちゃん話すから家に呼んでえぇか?」
お互いの社長に俺たちの関係を話して認めてもらった。
いや。
あれは認めて貰ったというか貴史の押しに負けて勝手にしろという感じだったけどな。
で。
喘息も落ち着いたからとりあえず退院し、仕事も今の分をこなしていた。
一昨日。
今年いっぱいで休養に入ると公式ホームページ及び関係者には伝えた。
そんな時に。
貴と熱愛報道されていた女優の田代真由を家に呼ぶと言ってきた。
「はじめまして!田代真由です!遊佐くん可愛いー」
「真由!和が引いとるで!」
「これ、和威くんにお土産!馬鹿な貴には上げなくていいから」
田代真由はイメージと違って、かなりテンションが高い女優だった。
「和。あんな?真由とは幼なじみやねん」
「幼なじみって言うより腐れ縁よね?」
「せやな。俺が中学ん時に大阪から引っ越してきてからの付き合いやからな」
「あの熱愛報道はね、同窓会やってたのよ。あの日。で、バカな奴が話題がないものだから載せたってわけ」
そっか。
貴史は彼女を好きとかじゃないんだ。
杏里の言う通りだったんだな。
「杏里ちゃんに伝言頼んだのにもう別れたあとだって言うじゃない?」
「杏里を知ってるんですか?」
「杏里ちゃんは友達よ?」
真由…………。
確か聞いたことが……。
『遊佐くん。私恋人できた!真由さんて女優なんですけどね!』
「杏里の彼女?」
「杏里ちゃん話してたの?」
「杏里は同じ事務所の後輩なんで」
杏里は俺と同じ同性愛者だから。
田代真由は俺を呼び寄せると貴史に聞こえない声で言ってきた。
「あまり他の子と仲良くすると貴史妬くわよ?」
「え?」
「こらぁ!俺の和になに近づいてねん」
田代真由と俺を引き離すかのように貴史は抱きしめてきた。
「別に取ったりしないわよ。じゃあ帰るわね!貴史、アンタ和威くんを泣かちゃだめよ?」
「わかっとるわ」
田代真由はそう言いながら帰って行った。
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