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和威の実家
「なぁ和って実家に帰ったりせんの?」
「あまりしてない」
「何で?」
俺と知り合うてからは帰っとらんはず。
一緒に暮らしはじめてからは一回も帰っとらん。
「和のご両親心配してへんの?」
「言ってなかったけ?俺、親いないんだよ。ばあちゃんに育てられたられたから」
「そうやったんか……」
「何でそんな顔してるんだよ?」
「え?」
「親がいなくてもばあちゃんいたしおじさん一家もよくしてくれたから大丈夫だって」
「和のばあちゃん心配してへんの?」
「今年あたり帰ろうと思ってたけど……」
??
和どないしたんやろ?
「貴史が嫌じゃないなら来る?」
「え?」
「だから、実家に帰るとき一緒に行くかって聞いてんの!」
「行く!」
「じゃあばあちゃんたちに電話してくるから」
和のおばあちゃん。
どないな人なんやろう?
きっと和みたいに優しい#女性__ひと__#何やろうな。
「年末1部屋確保しとくからだってさ」
??
1部屋??
「多分。着いたらわかるから」
それから。
あいにくクリスマスは仕事で一緒に過ごせんかったけど。
年末和の実家に行くのが楽しみで仕方なかった。
「なぁ、和のおばあちゃんて何が 好きなん?」
「……」
??
和どないしたんやろう?
「どうしたん?」
「土産いらない」
「何で?和の家でお世話なるのに」
「ばあちゃんケーキ好き。あとお前が行くと大喜びする。
「おばあちゃん芸能人が好きなんか?」
「そ。というかばあちゃんは木村貴史の大ファンなんだよ」
なんや。
和のばあちゃん可愛い人やな。
「話したん?」
「いや。芸能人の友達連れてくるからって言っただけ」
和もそういうこと好きやな。
そして。
年末、お土産にケーキ買って向かう。
「和。凄い荷物やな」
「あぁ。いらないもの実家に置いとこうと思って」
いらないものて……。
和の実家は静岡県にあんねんやて。
「で、そこの大通りに○×旅館方面てあるだろう?そこに向かって走って」
和の家は温泉に近いんか?
車を走らせること30分。
「車、ここに停めていいから」
いやいや。
ここ、従業員用やんか?
しかも。
さっさと旅館に入って行きよった。
「いらっしゃ、あ、和威ぼっちゃま」
「大奥さま!」
「なんだい?あ、和威」
「ただいま、ばあちゃん」
「早かったね」
「ばあちゃん。友達の木村貴史だよ!」
和のばあちゃんめっちゃ驚いとるやん。
「和、お前さん。芸能人の婿連れてきたんか?」
「はぁ?え?いやいや。違うって!」
和。
そない思いっきり否定せんでも。
「和代さん、和威くん帰ってきた?」
「あっ中島のおじさん」
和が帰ってくるって聞いとたんか、みんな和を訪ねてきた。
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