和威の過去

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「じゃあ和、行ってくるから大人しゅうしときよ」 「なんだよ。その言い方」 ほんま。 和は可愛いなぁ。 「和のおばあちゃんに呼ばれたんやったら行かんわけにはいかんやろ?」 昼間。 和のおばあちゃんが和のことで話あるから。 夜、部屋に来て欲しいって。 和もなんの話かわかっとるみたいやけど。 けど、和の話って何やろうか? 「こんばんは。木村です」 「夜にすまんな」 「いえ、和のことで話があるって言われてましたけど」 「とりあえず部屋に入り」 「おじゃまします」 「母さん、貴史くんに話すんですか?」 「和のことやで。話さんでどうすんねん」 「貴史くん。和威はないい子なんだよ。他人を優先して自分は後回しするような」 なんや、含みのある言い方やな。 「実は和威が俺たちに恋人を紹介するのはキミで二人目なんだ」 「二人目?そうやったんですか」 「和威は隠していたつもりやったんやろうけどバレバレやったんや」 「ただ、前の時は相手が悪かった」 「和威は人を疑ったりしないそういう子なんだよ。相手はたちが悪くてそれを利用していた」 「相手はどんな子だったんですか?」 「和威より年上の男。しかも、既婚者」 「既婚者!?」 って。 まかさ……。 「和威にはそれを隠して近づいたんや」 俺が最初近づいた時の警戒されとったんはそういうことやったんか。
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