21人が本棚に入れています
本棚に追加
『遊佐は騙しやすそうだからな』
成宮くんにそう言われてしばらくした頃。
それは起き始めた。
「仕事、ですか？」
『あぁ。ごめんな』
遊ぶ約束をしても。
何故か前日にキャンセルされる。
本当に仕事なら仕方ない。
でも。
なんとなく違うような気がした。
それからしばらくして。
食欲も落ち、胃がムカムカしていた。
「ごちそうさま」
「和威くん。もう、いいの？」
「うん。食欲なくて……」
「風邪かな？」
「多分。寝てれば治るから」
けれど胃のムカつきは治らずにいた。
「おい、遊佐！」
「成宮くん？」
「お前なそんな顔色でよく学校に来たな？」
「え？」
そんな顔色？
顔色悪いのかな？？
「次、移動だぞ」
「うん！」
立ち上がったんだけど……。
「遊佐！？どうした？」
めまいがした。
「ただのめまいだから」
！？
やばっ。
吐きそう……。
「ちょっと待ってろ！」
成宮くんは走ってどこかに行った。
「遊佐、大丈夫か？」
成宮くんは保険医の先生と共に戻ってきた。
「相当顔色悪いな……吐きそうか？」
実際吐きそうだったから頷いた。
そして。
吐き気が治まり、そのまま。
病院に連れて来られた。
診てもらうと。
ストレスからくる胃腸炎だと。
で、しばらく入院だと。
おばさんが夕方に来るらしい。
ばあちゃんは忙しいだろうし胃腸炎感染したら大変だしな。
俺は蓮さんに連絡した。
『蓮さん、俺、胃腸炎で今入院することになったんでしばらく会えません』
『胃腸炎大変だね。でも、ちょうど良かった。俺も仕事忙しくなってきて和威くんに会えそうになかったから。それに胃腸炎伝染ったら大変だからお見舞いも行けないしね！じゃあおだいじに」
･
･
･
。
嘘でもいいから来てほしかった。
胃腸炎伝染ったら大変なのはわかるけど……。
最近。
なんとなく蓮さんに突き放されかかっているような気がした。
最初のコメントを投稿しよう！