佐々木蓮と和威

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「ん……」 目を覚ますと腕には点滴が。 全体的にだるかった。 「あ、和威くん。目覚ましたのね!」 おばさんの話によると。 俺は丸3日目を覚まさなかったらしい。 通りかかった親切な人が連絡までしてくれたらしい。 「和威くんあてに手紙を預かってるの」 『佐々木蓮の妻です。目を覚ましましたら連絡をお願いします』 そう書かれた手紙が。 蓮さんの奥さんが来た日は俺の体調も良かったから屋上で話すことに。 「話はあの人から全て聞きました」 あぁ。 バレたか。 奥さんは謝ってくれた。 謝る必要なかったのに。 そして。 「あの人にも言ったけど2度と会わないで」 それだけなら良かったのに……。 「男が男好きとか気持ち悪い!!」 わかっていた。 同性愛者(俺たち)は、普通の人たちからみたらおかしいんだろうから。 「わかりました」 俺はそう言っていた。 蓮さんの奥さんが去ったあと、きゅうに急に息苦しさが増した。 それと同時に吐き気と頭痛、めまいがして立ってられなくなりその場に座り込んでしまった。 ************** 目を覚ますとばあちゃんが心配そうな顔していた。 「和威!大丈夫か??」 「ばあちゃ……」 ばあちゃんは俺の手を握り良かったとつぶやいて。 「なぁ、和威。ばあちゃんに話してくれんか?」 「……」 ばあちゃんになら話してもいいと思った。 だから話した。 名前と性別は伏せて。 「そないなことがあったんやな。和威、無理して学校いかんでえぇで?体調良くなるまで休みや。学校には話を通しとくからな」 その後。 俺はパニック障害と過呼吸症候群と診断された。 過呼吸症候群とはいわゆる過呼吸のことらしい。 パニック障害がなんとか治り俺はみんなより2年遅れて高校を卒業した。
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