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もう一度だけ
貴史に出ていくと告げてから俺は貴を避けていた。
貴史が仕事に行ってからもしくは寝てから家に帰っていた。
本当は出て行きたくない。
でも。
俺たちはもう。
戻れないんだから。
「遊佐くんー!」
「杏里?どうした?」
「どうしたじゃないよ。この間倒れたって聞いたから」
「大丈夫だよ」
「ホントに?……真由ちゃんと貴史さんは何でもないからね」
「何で杏里が……」
「私、真由ちゃんから聞いたから」
「何でもないも俺たち別れたからいいって」
だから。
貴史が誰とどうしようがアイツの自由なんだ。
それからしばらくして。
貴史から話しがしたいとメールがきていた。
今さらなんの話しがあるんだ?
俺たちは終わったんだから……。
俺はそれを無視していた。
そんなある時。
貴史からまたメールがきていた。
5日後の午後6時に俺たちが会ったあのバーに来てほしいと。
話しがあるからと。
それからしばらくして喘息の発作が出かかっているような感じがしていたけど、ほっといた。
とりあえず仕事に影響なかったから。
「遊佐くん顔色悪いよ?大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
今日乗り切れたら大丈夫。
「お疲れ様ーいやぁ、なんとか終わったね」
収録が終わり出演者と少し話して帰った。
あ、ヤバイ。
「っゴホッ」
こんな時に発作が起きるとはっ。
しかも誰もいないのに。
*************
「ん……」
目を覚ますとベッドの上だった。
「あ、遊佐さんっ」
「みつる?何で」
「3日目覚まさないから心配しましたよ!社長には話してるんでしばらく仕事しないで休めって」
「みつるありがとうな」
3日経ってるなら明後日約束の日だよな。
『和威。気持ちが上手く伝えれんなら手紙書くとえぇからな』
そっか。
そうだよな。
ばあちゃん!
俺は貴史に手紙を書くことにした。
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